熱烈な告白だね

Rバルバトスのアジトセリフから。
セリフ多め。

「キミの目にその子はどう映るんだい?」
 バルバトスにそう聞かれて、ソロモンは言葉を詰まらせた。正直に答えたくないが、嘘はつきたくない。そのため、どう表現すれば良いかわからなかった。
 ことの発端は、バルバトスが以前にも増して精力的に吟遊詩人の役目をこなそうとしたことだった。恋文の代筆を募集していると言っているが、残念ながら、バルバトスの周りにそんな人はいない。ポータルのキー設置であちこちを巡っているため、相談する時間のある人など、恋に興味のないいつものメンツばかりだ。
 その行動を沈静化するため、ソロモンが説得しようとしたところ、逆に捕まってしまったのだった。
 個室へ移動してくれたのが唯一の救いである。
「眩しい、かな。手の届かないような。でも、最近は近くなってきてくれて嬉しいよ」
「ほう、それで、気になってきてしまった、と」
「バルバトス」
「はは、ごめんごめん。からかうのは止めるよ。さて、次はと、どんなところが目に止まるかい?」
「目が止まる?」
「そう。目で追ってしまうところ、と言い換えてもいいかな」
 ソロモンは視線を外し、自分の記憶を探る。脳裏に映し出されたのは、一つの光景だった。
「話しているとき、かな。話していて、楽しそうにしているときは、ついつい見ちゃうな」
「そういうとき、キミは混ざらないのかい?」
「混ざったりはするよ。上手く返せているか、自信はないけど」
 先程から、バルバトスはソロモンの返事を聞くたびにメモをしていた。自分のこたえが記録されると思うと、座り心地が悪い。どうにか上手いことバルバトスの手から離せられないかと考えてしまう。
「キミはその子の外見で、どこが1番好きかな?」
「えぇ…………。目、かな。楽しそうにしてるとき、目が輝いているのが本当に綺麗なんだ」
「視線を向けられたいと思うかい?」
「それは」
 あまり思わない、と続けようとして、ソロモンは口をつぐんだ。こう言えば、どうしてそう思うのかと聞かれるだろう。よく視線を向けられるから、なんて言えやしない。
「それは?」
 バルバトスの声が甘く響く。
「思、うよ。ただ、今みたいに観察されるのは嫌かな」
「これは失礼、次は気をつけるよ。話を戻そうか。内面ではどこが1番好き?」
「それは困る……。嫌なところは思い浮かぶけど、好きなところは言葉にできないよ」
「ほう」
「ただ、優しいとこは、好きだ」
 いつしかソロモンの視線は床に向けられていた。今は目を合わすのが辛い。ただただ恥ずかしい。
「他には? 外見でも内面でも、好きなところはどこだい?」
「これ以上は、どれとか決められるわけないだろ…………」
「いいや、そういうところははっきり言わないと。せっかく上手くいっても続かないよ」
「余計なお世話だ」
「事実だからね。まあ、それはおいおい聞こう。キミはその子とどうなりたいんだ?」
「どう、って?」
「手を繋いだり、キスしたり、その先を求めたり」
 そう言われた瞬間、まさにそれがあっという間にソロモンの脳内に展開された。恋人同士の交わりを通じて、暴き奪い奪われた混ぜていく。生々しくも遠い光景が意識にこびりつく。
 ソロモンが言葉を返せないでいると、バルバトスは楽しそうに笑った。
「キミも男の子だね。そういうことへの興味は薄いかと思っていたけど、安心したよ」
「うぅ…………」
「さて、そろそろ限界のようだし、最後の質問をしようか。その子のことを、好きになった切っ掛けは?」
「…………言わなきゃダメか、それ」
「ダメ」
 しどろもどろになりながら、ソロモンは好きになった切っ掛けを伝えた。羞恥心で頭が茹だりながらも、必死で言葉にしていく。
 後日、「写して名前を書き加えてから渡すこと」と念を押された恋文は、ソロモンの自室に大切に仕舞われることとなるのだった。
 恋が成就した後、その恋文が暴かれることになったのは言うまでもない。