クレープ

ぴけさんの下記リンク先のツイートに影響を受けて書きました。好き。

学パロ女体化ソロバルです。
https://twitter.com/ekusekip/status/1097044429523709954?s=21

「よしよし、いい心がけだ」

 バルバトスはクリームとフルーツがたっぷり入ったクレープを見ながら、満足げにそう言った。普段なら買わないような、少しお高めのクレープで、ソロモンの奢りのものである。

「本当に、こんなので良かったのか?」

 ソロモンは罪悪感から項垂れ、地面を見ながらそう言った。側から見たらバルバトスは上機嫌に見えるが、ソロモンに気を遣って明るくしているだけかもしれない。
 ことの発端は、躓いたバルバトスを咄嗟に支えるため、偶然ソロモンがバルバトスの胸を鷲掴むような形になってしまったことだった。こちらに悪意は無いとは言え、触られて不快な思いのする場所だろう。支えるにしても、もっと他の場所はあったのにと、後悔ばかりが募る。触った感触を忘れられないのも、ソロモンの罪悪感を煽っていた。

「そうは言っても、十分すぎるくらいなんだけどね。こけそうになった所を助けてもらってたんだし、むしろ、奢らせてる方が申し訳ないかな」
「そんなこと! もうちょっと、他にやりようがあったし。……ごめん」

 胸の柔らかさが再び手のひらに蘇ってくる。指が沈み込んでしまうのではないかと思うほど柔らかくて、しかし、張りもあり、想像していたより冷たかった。
 ソロモンは頭を振って煩悩を振り払う。こんなことを考えるなんて、バルバトスに失礼だ。

「そう何度も謝らないでくれ。クレープはキミの気持ちだから受け取るけど、あれは事故だったから仕方ないさ」
「うう…………」
「それにね、ソロモン」

 続きの言葉がなかなか出て来ず、ソロモンはバルバトスの表情を恐る恐る伺った。バルバトスはソロモンから視線を外し、耳を赤くしている。
 ソロモンの背筋がピンと伸びた。

「相手がキミだから、そんなに悪い気はしなかった」
「バルバトス……」
「こんなこと言わせるなんて、そっちの方に反省してほしいよ」
「うん」

 バルバトスはソロモンの目の前にクレープを差し出してきた。甘い香りが漂ってくる。

「キミも食べよう? 嫌いじゃないだろ」

 そう言うバルバトスは普段の調子に戻っており、ソロモンもいつものように頷く。
 気持ちはクレープのように甘かった。