誰よりも早くあなたへ

バレンタインネタなソロバルです。

 キッチン横のテーブルに並べたブラウニーを見て、流石に作りすぎたとソロモンは反省した。みんなに喜んでもらいたい、その一心で作ったものの、あまりそうな程に量がある。
 しかも、これからソロモンはさらに一品作ろうとしているのだ。
 まず、果物の下拵えをしてからチョコレートの準備を始めた。チョコレートを細かく刻み、湯煎でゆっくり溶かしていく。その後は、温度計で計りながら、冷やして温め、丁寧に混ぜる。この手間を加えることで、チョコレートは見た目も味も良くなるのだとフルフルが言っていた。
 10分もすれば艶のあるチョコレートの完成だ。
 そこへ、先程の下拵えを済ませた果物をつけていく。果物一つひとつに半分だけチョコレートを纏わせてやれば、見た目も美しいお菓子の完成だ。あとは固まるのを待つばかりである。
 ブラウニーとは違い、これは1人に贈るためだけのものなので、少量しか作らない。ソロモンはその内の苺を一つ食べた。チョコの甘さとイチゴの酸っぱさが混ざり合い、爽やかな幸福感が口いっぱいに広まる。
 完成したものを、緊張で震える手でラッピングした。見た目はどれもほぼ同じだが、特別な一つだけ、細い金の糸をリボンへ結びつけて目印とする。その後、特別な一つを除いて、冷暗所へ置いた。
 今日はバレンタイン前日、まだ贈るには早い。しかし、特別な一つを贈る相手は、明日は沢山貰ってくるだろう。それならば、1番にチョコレートを贈りたい。
 ソロモンはドアをノックした。
「バルバトス、起きてるか?」
「ああ、起きているよ。キミがこんな夜中に珍しいね」
「わ、渡したいものがあるんだ」