自分だけのチョコレート
公式セリフから妄想したバレンタインネタのソロバルです。
「恵んであげようか」というバルバトスの言葉へ素直に頷き、手に入れたチョコを、ソロモンは持て余していた。濃いめのピンクと、レースの白いリボンで飾られたそれは、一目でバレンタインのチョコだとわかる。それも、女性が好みそうな印象深い色合いのものだ。
すぐに食べてしまえば良いとはわかっているものの、どうも気乗りがしなかった。確かに欲しいと願ったもののはずなのに。
自室のサイドテーブルに、バルバトスから貰ったチョコを置いた。未開封のそれを見ながら、他のメギドから貰ったチョコの包装を開ける。手作りは絶対に食べるなと、カスピエルから散々言い聞かされているため、心は痛むが手作りチョコは除いた。
一口ずつチョコを食べ終えると、ソロモンは部屋の外へ出た。やらなけらばならないことは沢山ある。
その道中、ソロモンは騒ぐシャックスとなだめるバルバトスに会った。
「……何やってるんだ?」
面倒な気配しかしないが、放っておくわけにもいかず、ソロモンは2人に話しかけた。
「あ、モンモン! バルバルがね、変な動きをしていたの」
「変な動き?」
「シャックス! ソロモン、気にしなくていいから」
「顔赤くして、同じところ歩いてたよ。変なの変なの」
バルバトスの制止も聞かず、シャックスは話し続けた。ソロモンは苦笑する。これは止まらない流れだ。
「10分とか前だっけ? モンモンと別れたくらいからだよね? だよね?」
「あー、どうしてキミはこういうとこばかり鳥頭じゃないかな!」
「なんで、そんなことになったんだ?」
シャックスが満足するまでは黙って聞こうと考えていたが、自分が絡んでくるとなると話は違う。原因が自分かもしれないのだ。迷惑をかけたのならば、それを拭わなければならない。
バルバトスはソロモンの顔を見て、しばらく悩んだ後、大きくため息をついた。
「大したことじゃないさ。久し振りに真っ当な贈り物をしたから、柄にもなく照れていただけ」
「贈り物……?」
「何を言ってるんだ。キミに贈っただろ、チョコレートを」
ソロモンは部屋に置いたままの、未開封のチョコレートを思い出す。
「あ、俺への、か」
「そうだよ。女の子の中に混ざって選ぶのは苦労したんだからね、感謝してくれよ」
その後、バルバトスは「みっともないところを知られた」等、愚痴を言っていたが、ソロモンの耳には入ってこなかった。
用事は少しだけ後回しにして、まずは部屋に戻ろう。そう決めるソロモンだった。