ひと段落つきましたので

だいたい20年後ネタで、モンモンの属性が
・アラフォー
・経験人数2桁
・正妻とはめちゃくちゃ仲が良い
となってます。

「俺にうつつを抜かしている暇があったら、側室の誰かのところに行ったらどうだい? 最近、何もしていないだろ」

休憩時間になんとか2人きりの時間をもぎ取り、ソロモンがバルバトスに誘いをかけた応えがこれである。ヴァイガルドの危機を一旦乗り越え、建国してからずっとこの調子だ。

「……後継はもういるからいいじゃないか」

より一層深く椅子にもたれかかり、落胆の色を隠さないままソロモンは言った。

正妻であるシバとの間にできた子供のうち、なんとか男子を引き取り、後継としている。7つも越えたので、死ぬ可能性は低いだろう。その他、複数つけられた側室との間にも、それなりの人数の子供をもうけている。

「君はもう若くないんだから。それに、彼女から聞いてるだろう? 産まれた時から押し付けられた責任の重さを。それを、誰にも任せられない辛さを」

ソロモンはシバの言葉を思い出す。指輪の適合者は少なく、自分が死ぬとどんどんジリ貧になるため、辛くて仕方がなかったと言っていた。理不尽さを感じたと言っていた。ソロモンはなし崩しとは言え、自分で選択したことだが、選択の余地すらなかったシバにかかる負担の大きさは、並大抵のものではない。

それを分散するために子供をたくさん作れと言われるのはよくわかる。今後のヴァイガルトのためにも、ソロモンの優秀な血筋を継ぐ者は一人でも多い方が良い。

しかし、理屈では知っていて、実践したとしていても、思いの通じてない相手と行為を重ねるのは、ソロモンにとって好ましくないことだった。

「わかってるけど……」
「それならいい。都合をつけてあげるから、今夜行っておいで」

バルバトスがソロモンの近くに寄って来て、宥めるように、触れるだけのキスをしてきた。ソロモンはいつもそれで誤魔化されてあげている。バルバトスの言うことは真っ当なことなのだ。反論するための糸が無い。十何年も繰り返したことだ。

離れる前に、ソロモンはバルバトスの腕を捕まえた。

「他の人の所へは行かない。……今日だけだから」

バルバトスはバツが悪そうに視線をそらす。そのまま沈黙を続けた。

なかなか返ってこない答えに、ソロモンは次第に焦り出した。そろそろ休憩時間が終わる。そうなれば、なし崩しで今回も流れてしまう。

「ちゃんと務めは果たすよ。約束する。あ、それとも、おじさん相手は無理か? ……あと少しで、初めて会ったときのブネくらいになるもんな」

順調に歳をとるソロモンと違い、バルバトスは若いままだ。不快感を持たれても仕方ない。この間、久しぶりにシバと会ったときも、お互い歳を取ったと容赦なく言い合った。腹に付いた贅肉もつまみ合った。

ソロモンの思考が別の方向に向かい出したあたりで、バルバトスは視線を戻した。困ったように微笑んでいる。

「わかった、観念したよ。……準備して待ってる」

ソロモンの言葉を待たず、バルバトスはソロモンの頭を抱き込んだ。ソロモンは驚きでバルバトスの腕を放す。その解放した腕の方で、ソロモンは幼子をあやすように頭を撫でられた。

「可愛いな、君は」
「子供扱いするなよ」
「何言っているんだ。俺にとっては可愛い可愛い歳下の男の子だよ。ずっとね」

ソロモンは抱き返そうとしたが、するりと逃げられる。そのままバルバトスは、テーブルの上に置いておいた砂時計を手に取った。砂は全て落ち切っている。

「さて、休憩は終わりですよ、陛下」
「はーい」

しぶしぶとソロモンは立ち上がる。短い休憩はこれで終わりだ。