新しい日常
公式のモンモンの服装ネタを元に書いたものです。
少しだけ後悔してきたが、もう後には引けない。全身の刺青が映えるからと、仲間のユージとダッチに勧められるまま買い、その流れで一部を切り取られた上着の補強をしながらそう覚悟する。
まだ物の少ない部屋の中で、ランプに火を灯して縫い物をする。すっかり暗くなってしまったが、今夜中に仕上げてしまわないと明日に着る物が無い。これを着て過ごすと豪語した手前、今日まで着ていた服を着て過ごすという選択肢は無いのだ。
なんとか仕上げ、居ても立っても居られずすぐに袖を通した。過度な露出のこの服は着ていて少し寒いが、慣れればどうということはないだろう。ついでに、馬鹿騒ぎして買ったアクセサリーも身につける。そのまま、窓ガラスに姿を映した。
「結構いいじゃん」
窓に映る自分の姿は予想以上にかっこ良く、思わずニヤケてしまう。なかなか良い。とても良い。じいちゃんの形見の指輪とも合っていて、良い買い物をしたと満足する。
何度もポーズを決めた後、服を丁寧にハンガーにかけてベッドへ寝転がった。天井へと手を伸ばし、自分の刺青を見る。物心ついたころにはあったこの刺青は、不思議なことに入れたときのことは覚えていない。かなり痛い行為だからトラウマになっていてもおかしくないと言うのに。飛び抜けて鈍感な子供だったのだろうか。
何はともあれ、明日からはこの刺青を見せびらかして過ごすのだ。そう考えるとどうにも落ち着かず、狭いベッドの上でゴロゴロと転がる。奇異な目で見られるからと隠してきた刺青を晒すのは、恐怖3割安堵7割で、不思議な感覚だ。さらにその先の、晒し慣れてしまうだろうその感覚は全く想像がつかない。どんな感じだろうか。
ひとしきり悶えた後、区切りをつけるため深呼吸をした。これは無理にでも寝ようとしなければ、朝まで徹夜コースだ。そうなると、明日からの仕事に身が入らない。
何度か深呼吸をしていると、心配していたよりも早く睡魔が訪れる。重たくなっていく瞼の裏で意識が溶けていく。
溶けきって再び固まれば、そこから今日とは少し違う日常が始まる。頰が自然と緩み、意識は溶けきった。