記憶と同一性とその保障

6章ネタで、ガブリエル視点です。
ブネ⇔カマエル
ウェパル⇔ガブリエル
なところがあったので、あの反応はしっくりきました。

アレは違う。ガブリエルはすぐに悟った。

姿形は酷似していても、目の前のヴィータは明らかにウェパルではなかった。考え方が違う。選ぶ言葉の癖が違う。カマエルはともかく、シバの女王やソロモン王、追放メギドたちが何故当たり前のように受け入れているのか、理解できない。

何かが落ちる感覚がして、ガブリエルは胸の辺りを押さえた。すぐに押さえたにも関わらず、「何か」は次々と落ちていき、すぐに体が、がらんどうになっていく。

これは哀惜の感情か。

覚えのない感情だが、いやにしっくりくる。ガブリエルは、自分が間違いなくあのメギドが喪われたこと悲しんでいることを自覚した。

ウェパルの考え方は好ましいと前々から感じてはいた。冷静で、感傷の挟む余地の無い思考は、ハルマとしてとても親近感のあるものだったのだ。

自分の欠片が喪われている感覚を抱えたまま、ガブリエルは誰にも見送られなかったウェパルを見送った。大地に還ることなく喪われた、その魂を。