立体裁縫
女体化したバルバルのブラジャーをモンモンが作る話です。
肉を寄せて体裁を整え、余った布を待ち針で仮止めした辺りでソロモンは正気に戻った。
遺物の暴発で一部のメギドの体が変わって3日程経った日のことだ。被害に合った1人のバルバトスが、しきりに苦しそうにしているのに気になり聞いたところ、胸が揺れて痛いと言われた。胸の揺れを抑える下着をわざわざ買うのは、少しの間だから勿体ないと言われたため、寝る前の時間を使って簡易的なものをソロモンが作っている。
余って使い道の無い布を使っているからいいだろうと押し切って作っているのだが、出来上がり寸前に、とてもまずいことをしている気がしてきたのだった。
ソロモンの部屋で作ってくれと言われたのはこのためか。
当然の事ながら、上半身裸で待ってるバルバトスは、急に手の止まったソロモンに話しかけてきた。
「あと少しだろう? どうしたんだい?」
マルコシアスの水着の形状を思い出しながら作ったそれの、残す作業は微調整のみだった。
「急に悪いことをしてる気がしてきた」
純粋に心配して始めた作業だったが、完成間近で急に羞恥心が湧いてきた。
「今更か。君くらいの歳の子がよくやるなとは思ってたけど、無意識だったとはね」
バルバトスに背を向け、ソロモンは作業を再開する。先程、調整して不要だと判断した部分を縫って潰す。
自分が作っているものにも関わらず、触るのが恥ずかしいもののように感じてきた。
「できた、から、着けてみてくれ」
ソロモンは後手でそれを渡す。
「さっきみたいに着けてはくれないんだ?」
「着方はもうわかるだろ」
「まぁね。ふふ、若いなぁ。……。着たよ」
ソロモンは振り返り、状態を確認する。パッと見では問題が無いように見える。
「着け心地はどうかな?」
「胸の下が少し物足りないかな」
「それだったら、もう少し強めに縛ったらどうだ」
バルバトスに背中を向かせ、肋骨のあたりを回っている紐を、ソロモンは一旦緩めた。その後、バルバトス自身がやったよりもやや強めに締める。
「どうかな?」
「うーん、ここをもう少し詰めてほしいかな」
「どこ?」
バルバトスの肩越しにソロモンは確認する。すぐにその方法が良くなかったとソロモンは後悔した。
バルバトスの胸の大きさはそれなりにあり、詰めてほしい箇所は胸の下、谷間の辺りにあった。そのため、場所を確認するには必然的に身を乗り出して覗き込むしか無い。
他の場所をなるべく見ないようにしながら、ソロモンはバルバトスが摘んでいる箇所をそのまま引き継ぎ、待ち針で仮止めした。
「これくらいで大丈夫か?」
「ん。他に気になるところはないよ」
そう言うと、バルバトスは、ソロモンが視線を外す前に、首の後ろに回した紐と背中の後ろに回した紐の結び目を両方解いた。衣装はすぐに離れ、乳房が露わになる。
ソロモンは慌てて顔をそらした。
「別の所を向くまで待っててくれよ!」
「ええ……、さっきまで散々見てたし、触っていただろ?」
「それどころじゃなかったんだよ……」
呆れた声でバルバトスは言うが、先程までは作り慣れないものを作ることに集中し過ぎて、それどころではなかったのである。
顔をそらしたままソロモンは衣装を受け取った。再びバルバトスに背を向け、余った布を詰め直す。
そうしたソロモンに、バルバトスはソロモンの背にピタリと体を寄せた。柔らかいものがソロモンの背に押し付けられる。
「終わったらも揉むかい?」
焦るソロモンに対し、バルバトスは楽しそうに言った。
「揉まない! 危ないから離れてくれ」
「はいはい」
予想外にあっさりとバルバトスはソロモンから離れた。
自分の発言に後悔しつつ、ソロモンは作業を続けるのであった。