深夜の逢瀬
私の全力を込めたえっちなソロバルです。※年齢制限無し
歌声を頼りに、ソロモンはアジトの外へ出た。程なくして声の主は見つかり、一言声をかけて隣に座る。
「バルバトス、隣いいか?」
「どうぞ。歓迎するよ。もしかして、俺の美声に誘われて来たのかな?」
「それはちょっと違うな」
それは残念、と、大して気にした様子もなくバルバトスは言う。
「そうだ、ソロモン。俺といけないことをしないかい?」
茶目っ気たっぷりに言うバルバトスが出してきたのは、丸いパンだった。油で揚げているのか、カリカリの衣がピンと立ってパンに張り付いている。
「俺のお手製のお菓子さ。作りすぎてしまったからね、食べてもらえるとありがたい」
「確かにいけないことだな。ありがとう、もらうよ」
遠慮なくソロモンは手を伸ばした。
パンは、手が油で汚れないようにとの配慮で一つひとつ紙が巻かれていた。その紙を少しめくり、口に運ぶ。パリっとした皮の中にはふかふかのパンが満たされており、中央には甘く煮付けたベリー系の果物がはいっている。
バルバトスの方を見ると、彼もパンを食べ始めたところだった。
いつもはパンを一口サイズに千切って食べているバルバトスだったが、今回はそのままかぶりついていた。
果物に到達させるためなのか、かなり大口で食べている。遠慮なく噛り付いたパンには歯型が残り、尖った部分を齧って平らにしていた。
パンに残った油分が唇にぬらりとまとわりつき、一瞬、舐めとるために舌先が唇の合間から見えたが、すぐに手の甲で油を拭う。
ソロモンはその様を、咀嚼された食物が嚥下されるまで、まじまじと見てしまっていた。
バルバトスはソロモンに視線を向け、にやりと笑った。
「どうしたんだい? そんなに情熱的に見つめられたら溶けてしまうよ」
「ごめん。俺、そんなに見てたか?」
「ああ、さすがの俺も恥ずかしくなるくらいにね」
「そ、それにしても、いつもと食べ方が違うんだな、いつもはこう、千切ってから食べるだろ」
「よく見ているね」
かなり違和感のある話の逸らし方だったが、それでもバルバトスは受け取ってくれた。
「こういうのは大口で食べた方が美味しいんだよ。それぞれ適切な食べ方があるのさ」
「ああ、確かにそうだな」
サクサクとした衣の食感、ふわふわのパンの柔らかさ、しっとりとした果実、これを一度に味わう贅沢は大口で食べることしかないだろう。
「ソロモン」
バルバトスがソロモンの顔に向かって手を伸ばしてきた。心臓が飛び跳ねるのを感じる。
「付いてるよ」
バルバトスの指がソロモンの唇の端を拭い、ためなうことなく指で取った食べかすを舐めとる。指の腹に押し当てられた赤い舌はいやに煽情的だった。
ソロモンの視線を感じ、バルバトスは朗らかに微笑む。
「こんなことで照れるなんて、案外ウブだな」
バルバトスはソロモンに擦り寄り、2人の間の距離がなくなる。
「いつも、もっと凄いことをしているだろう?」
その言葉はこの距離でないと聞こえないほどに小さく、低く甘く響いた。