まどろみの森
ゲーム序盤に少し出された情報から。
公式が情報公開する前に書いちゃいました。
思い詰めたダンデは周りの静止も聞かず、子供の小さい体で柵を軽々と乗り越えた。そのまま走ってまどろみの森を目指す。
ダンデはポケモンも連れないまま、まどろみの森へ突入した。整備された森の道にわずかに残る痕跡を、血眼で探しながらダンデは走る。そうしながらも、ハロンタウンを起点に頭の中で地図を描いていった。ダンデの目的はソニアを助けて帰ることだ。道が分からなければ意味がない。迷子常習犯の彼はここにいなかった。
「ソニア!」
走りながらダンデはソニアの名前を叫ぶ。ソニアが居なくなってからタウンのみんなでそこら中を捜した。もう捜していないのは森だけだ。ここにいるとしか思えない。
特徴的な傷の付いた木があった。ダンデは頭の中の地図に書き込む。道が二股に分かれれば必ず右へ進み、何もなければ戻って左の道へ進んだ。そうやってダンデは地図を構築していく。
時には痕跡を辿って道を逸れながらも進み続けると、いつしかダンデは森の奥深くへと辿り着いていた。
「ソニア」
叫び過ぎて痛む喉をさすりながらソニアの名前を呼ぶ。足は痛みすぎて、もう歩くことしか出来なかった。
ダンデは辺りを見回す。少しでも遠くに行くと景色はモヤがかかったように朧げになり、距離感が掴めないようになっていた。疲れすらも朧げになっている気がする。
ここは知っているところではない。肌が粟立ち、本能が帰れと訴えた。
「絶対に引かない」
小さくつぶやき、自信を鼓舞し、足を前へと進める。この先にソニアがいる。ソニアがこんな不思議な現象を見逃すはずがない。そう確信していた。
鋭い眼差しで周りの状況を分析しつつ進む。しばらくして、ダンデは開けた場所に着いた。
「ソニア。良かった、無事だったんだな」
広場の中央にダンデへ背を向けた状態で立っているソニアへ走り寄る。名前を呼ばれてもソニアは振り返らなかったが、ダンデは気にせずソニアの側に並んだ。
「怪我はないか? 早く帰ろう」
「ダンデくん、いたよ」
「何が?」
「すごいの。ポケモン、かな?」
ソニアの視線の先をダンデも見る。そこにはなにも居なかった。
「うん。帰ってから聞かせてくれ」
「うん、うん……」
ダンデはソニアの手を引いた。ソニアの体はダンデに引かれるまま向きを変え、頭だけが元の方向に残っている。ダンデはソニアが自分の方を見るまで待ち、後に森から出た。
外に出たころにはすっかり日が暮れており、抱きしめて泣かれながら叱られるという希少な体験をすることになった。
森でソニアが見たものは何だったのか。今は知る術はない。今回は運の良いことになにも無かったが、相棒となるポケモンもいないまま森を探索するのは危険なのだ。
いつの日か、ジムチャレンジが終わったころにまたソニアと来よう。ダンデはソニアを見ながら心の中で決めた。