そうだよ貰ってくれ

どうせなら俺が貰うの別ルートです。

遺物の暴発で一部のメギドの肉体の性別が変わり、1週間が経った。ようやく解決の目処が立ち、対処に取り掛かっているのだが、なかなか時間がかかり、一度に全員は治せない。

比較的気にしていない者を後回しにし、半分ほど治したところで日が暮れ、残りは明日となった。

精神的な面でも疲労困憊したソロモンは自室のベッドで横になった。そうして微睡み始めたころに、ドアがノックされる。

入ってきたのはバルバトスだった。

「寝るところだったかい? 出直すよ」
「いや、俺も話したかったから入ってくれ」

ノックに反応して起き上がっていたソロモンは、座る場所をずらし、横にスペースを作る。バルバトスはそこに座った。

バルバトスも今回の事件の被害者で、まだ治していないメギドの1人だった。体が女性化しているため、頭の位置はいつもより低く、声は高い。

「まあ、わざわざ来たからと言って、これといった話題は無いんだが」

リラックスした表情でバルバトスは言う。あとはもう寝るだけまで準備を終わらせたのか、格好もラフだった。

ソロモンの視線が自然とバルバトスの胸元に行く。バルバトス自身の服をそのまま着ているせいで胸元はいつもよりも肌蹴られていた。ブネやガープのようにいつも半裸の者のならばあまり気にならないが、普段はキッチリ着込んでいるバルバトスの薄着は正直なところ気になる。相手が恋人ともなればなおさらだった。

「今回の事件、なんとかなりそうだから、一気に力が抜けたよ」

なるべくバルバトスを見ないようにしながらソロモンは言った。

「ホント、一時はどうなることかと思ったけど。特にフォラスは可愛そうだったな……」

バルバトスの言葉で被害者の1人であるフォラスを思い出す。目も当てられないほど落ち込んでいたのが印象深い。

「ねえ、ソロモン。明日は俺も元に戻すだろう?」
「今日のペースだったらそうだな」
「だからその前に、女性の体に慣れておかないかい?」
「えっ、何を」
「君の血筋は特殊だ。それゆえに子供を残す必要は当然出てくる。……初めてが愛した女性相手とは限らないだろう? なら、技術はあったほうがいい」

視線を再び向けてきたソロモンに合わせ、バルバトスは落ち着かせるように微笑みかけた。

「確認してみたら、練習台になれる程度には女だったよ。この体」
「確認って」
「あ、それとも女性はダメかい? うーん、それは普通に困るな……」
「知らないよ!」

しばし唸った後、バルバトスはおもむろに上着を脱いだ。ラフな格好だったため、あっという間に上半身裸になる。

普段は服の下に押し潰されているため気にならなかったが、バルバトスの乳房は形良く、かつ、かなり大きい方に感じる。ソロモンは体の中に熱がたまっていくのを感じた。

逃げ腰になるソロモンにバルバトスはにじり寄ってきた。

「どうだい? 無理そうかな。かなりいい身体だと思うんだけど」

バルバトスは下も脱ぎ始める。元々オーバーサイズだったためか、服はあっけなく落ちていき、一糸まとわぬ姿の恋人がソロモンに迫ってきた。

腰は緩やかにくぼみ、尻は丸く、上を向いている。太過ぎもせず、痩せ過ぎてもいないその身体は確かにバルバトス自身の評価にかなうものだった。

ソロモンの視線がバルバトスに釘付けになる。恋人が裸で迫ってきて、若いソロモンがどうして視線を外すことができようか。

まともに頭が働かない状態で、ソロモンはバルバトスに手首を掴まれ、手のひらをバルバトスの胸に当てさせられた。

「うわっ」
「もう、色気が無いなぁ」
「ごめん」
「いいよ。それよりどうだい? 男の身体とは大分違うだろう?」

動けないソロモンに対して、バルバトスはソロモンの手を自分の胸に押しつけた。その分、ソロモンの手のひらに柔らかさが伝わり、欲と罪悪感がせめぎ合って、ますます動けなくなる。

「ここだけじゃない。他も全部違う。本番で上手くいかなかったら大変だから、練習しよう?」

その言葉を聞き、ソロモンはバルバトスの手を振りほどいて、毛布をひっ掴み、バルバトスに被せた。バルバトスはバツの悪そうな顔をしている。

「俺にとってはバルバトスが本番だよ。だから、練習はしない」

恋人が迫ってきて、肌を重ねたくならないと言えば嘘になる。現に、ソロモンは興奮しきっていた。しかし、バルバトスに異常事態が起こってることを考えると、迂闊なことはできない。なにより、恋してやまない相手が、自分を練習台にしようとしていて、それに乗ることなどできなかった。

顔を逸らし、「服を着てくれ」と小さい声で頼んだ。

「あ……、いや、君はいい男だな……」

力の抜けた声でバルバトスが言った。珍しい声色に、気になって薄目で見る。バルバトスは毛布を掴んでしっかり体を隠し、首まで紅く染まっていた。

「あー、何がツボに入ったんだろう。らしくないな。マジか……。ごめん、ソロモン」
「なんだ?」
「抱いて。本気でしたくなってしまった」
「ええっ! しないよ! 練習以前に、非常事態なんだからさ、無茶させたくない」
「調べたって言ったろ? 疲れているのはわかるけど、頼むよ」

毛布でしっかり隠したまま、バルバトスはソロモンに体を預けてきた。ソロモンの首筋に預けてきた頭からふわりといい香りがする。髪に何か塗りこめたのだろうか。

震える手をソロモンはバルバトスの背に回す。

「………………うん」

たっぷり悩んだ後、ソロモンは自分の欲に負けてしまった。